デザイナーだけではない? デザイン思考の重要性

「デザイン思考」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。“デザイン”という言葉が入っているため「デザイナーのための考え方」と思われがちですが、実はデザイナー以外のすべてのビジネスパーソンにとって大切な考え方と言えます。では、なぜデザインに必要な考え方がビジネスパーソンにも必要とされるのでしょうか?本コラムでは、デザイン思考についての説明に加え、メリットやデザイン思考実践のためのフレームワークについてご紹介します。

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、デザイン制作における思考方法を用い、それによってビジネス上の問題を解決していく考え方のことです。デザイン思考では、ユーザーのニーズをしっかりと汲み取ったうえで問題の解決へと導きます。

デザイン思考が必要とされる背景には顧客ニーズが多様化しているといった現状があります。昔は新しいものを生み出せば誰でもそれを欲しがる時代だったのが、今は単に「新しい」だけでは魅力を感じなくなってしまいました。実際、私たちはスマートフォンという便利な製品に頼ることで、良い製品・悪い製品を自分自身で取捨選択できるようになりました。そういった状況では単に新しいものを作るだけではユーザーがついていきません。つまり、デザイン思考を用いることで「どんな人をターゲットにするか」「どんな考えの人に使ってもらうか」を分析しターゲットをピンポイントで狙うことでうまくユーザーを取り込む必要が出てきました。

デザイン思考と類似する思考法

よくデザイン思考と比較される思考法について見ていきましょう。

ロジカルシンキング(論理的思考)

今ある現状に対し、筋道の通った考え方で向き合い、矛盾の生じない結論を導く思考法のことです。ロジカルシンキングの場合「課題や事象」を基に「論理的に」課題解決へ向かっていくのに対し、デザイン思考は「ユーザーのニーズ」を基に「クリエイティブな発想」で解決策を見出します。

クリティカルシンキング(批判的思考)

自分の意見に対して「間違っているかもしれない」という批判的な視点を持ち続けることで、より実践的な意見へと近づける思考法です。論理的に考えを深めるという点ではロジカルシンキングにも共通しています。しかし「ユーザーに共感する」ことがカギとなるデザイン思考と比較した場合、クリティカルシンキングの場合は「客観的」な課題解決を目的とするため、異なるアプローチといえるでしょう。

アート思考

アート思考はデザイン思考と対になる考え方です。アート思考の場合、ユーザーのニーズを汲み取ることよりも自己表現を優先します。そのため、自由な発想で独創性やオリジナリティのあるアイデアを生み出す場面で活用されることが多いでしょう。

デザイン思考の5つのプロセス

デザイン思考で問題解決していくためのプロセスとして、ハーバード大学デザイン研究所のハッソ・プラットナー教授が提唱する5つの手法があります。

1.共感(Empathize)

インタビューやアンケート、フレームワークなどを用いることでユーザーの行動を理解し、寄り添うことで問題点を見つけます。ユーザー視点でなぜこの回答に至ったかを考えるプロセスです。

2.定義(Define)

「共感」の段階で得られた情報を深掘りすることでユーザーの本当のニーズを探します。本当のニーズというものはユーザー自身も気づいていない可能性が高いため難しいプロセスではありますが、言語化されていない部分にも注意しながら「本質的に求めていること」を具体的に定めていきます。

3.概念化(Ideate)

ユーザーのニーズをどのように満たすか、アイデアを出し合います。この段階では、ブレインストーミングを用いて実現性に限らず多くの意見を出し合うことが大切です。この時出されたアイデアや意見は肯定的な姿勢で受け止めるようにしましょう。

4.試作(Prototype)

アイデアをもとに商品やサービスの試作品を作ります。想像だけでは見つからない新たな視点や問題点が実際に形にすることで見つけやすくなります。

5.テスト(Test)

試作品を市場に出し実際にユーザーに使ってもらうことで、ユーザーからのフィードバックを得ます。その意見をもとに1~4のステップを繰り返すようにしてブラッシュアップすることで、より顧客満足度の高い商品やサービス作りが望めるでしょう。

デザイン思考のメリットとは?

●コミュニケーションが活性化する
●本質的な課題にアプローチができる
●組織力の強化につながる

デザイン思考を用いることで、自由な意見交換の機会が得られます。どんな意見でも肯定的な姿勢で受け止めるというルールを設けることで意見が出しやすくなり、コミュニケーションの活性化につながるでしょう。そして自由な意見交換はユーザーニーズを理解した本質的な課題解決に有効といえます。また、定期的に継続することで組織力の強化も期待できるでしょう。

反対にデザイン思考の弱点といえるのは、全く新しいものを生み出すことには不向きである点です。既に利用している商品やサービスに対する悩みや課題を問題解決していくための思考法といえます。

デザイン思考のおすすめフレームワーク

デザイン思考を導入する際フレームワークを使うと便利な上、高い効果が期待できます。効率的に行うためにもぜひフレームワークを利用していきましょう。

共感マップ

顧客が考えていることや実際に行動を整理し、顧客ニーズを抽出していくフレームワークです。共感マップには6つの基本要素があり、その基本要素をもとに整理していきます。「ユーザーの本質を深く理解できる」「社内での認識のズレが解消できる」などといったメリットがあります。

【6つの基本要素】
・見えているもの
・聞いていること
・考えていること&感じていること
・言っていること&行動
・痛みやストレス
・得られるもの

ジャーニーマップ

商品やサービスの購入までのプロセスを、顧客の行動パターンや思考、感情を踏まえながら分析します。「全体像を把握できる」ことに加え「どの段階でどんな課題があるかを可視化できる」といったメリットがあります。

マーケティングに特化した記事を提供する「ferret」では、無料会員登録することで初心者でも分かりやすいテンプレートがダウンロード可能です。
カスタマージャーニーマップとは!?無料テンプレート付き

常にユーザー視点を意識する

冒頭でもお伝えした通りデザイン思考はデザイナーのためだけの考え方ではありません。仕事をしていくうえで、ユーザーの求めていることを本質から理解することはとても大切なことです。

イノベーションデザインラボでは、お客様の生産性・効率性を向上させるシステムを、ユーザーの利用目的、ニーズに沿ったデザイン思考で業務課題を解決します。 システムやデザインを見直し、より使いやすいシステムを導入してみませんか? IT活用・システムデザインに関するお悩みはお気軽にご相談ください 。

・関連記事

デザイン思考は”共感”がカギ

・IT-Trustコラム(オーダーメイドのシステム導入で企業のDX推進を支援)
https://www.ans-net.co.jp/column/

・勤怠trustコラム(カスタマイズ可能な勤怠管理システムを構築)
https://www.kintai-trust.com/column/

マンガでわかる!イノベーションデザインラボ

contact us

ご相談・お問い合わせはこちら ご相談・お問い合わせはこちら