今回は「UI/UX」と密接な関わりがある「ユーザビリティ」についてお伝えします。
「ユーザービリティ」という言葉、皆さんも一度は耳にしたことがあるかと思います。
ユーザビリティ(usability)は、「use」と「ability」(○○することができること、能力の意味)を合わせた造語で、
「有用性」「使いやすさ」「使い勝手」と訳されます。
ユーザビリティについても、考え方や定義が数多く存在しますが、一般的には「ISO 9241-11」での定義が広く認識されています。
特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い。
有効さ (Effectiveness): ユーザが指定された目標を達成する上での正確さ、完全性。
効率 (Efficiency): ユーザが目標を達成する際に、正確さと完全性に費やした資源。
満足度 (Satisfaction): 製品を使用する際の、不快感のなさ、および肯定的な態度。
「ISO 9241-11」
「利用状況」とは、ユーザ、仕事、装置(ハードウェア、ソフトウェア及び資材)、並びに製品が使用される物理的及び社会的環境のことです。
内容的にはUI/UXの定義と似ていますね。
元々、UI/UXという言葉の発祥も、「ユーザビリティ」を高める動きから派生したものです。
使いやすさだけでなく、利用状況やユーザー心理に焦点を当てる動きが高まり、UI/UXの概念が生まれました。
上述したように“使いやすさ”の視点に加え、利用状況やユーザの心理についても考慮する概念としてUI/UXが誕生したわけですが、いまいち違いが分からないという人も多いのではないでしょうか?
早速それぞれの違いを見ていきましょう。
UIがボタンや要素そのものなのに対して、ユーザビリティはその指標です。つまり、WebサイトのボタンがUIならば、そのボタンが実際に押しやすいか、認識しやすい色か、場所はわかりやすいか、がユーザビリティを意味します。
UXは、製品やサービスを通じてユーザが得る体験を指します。つまり、UIのように実際に目に見えるものではなく、ユーザがその製品を使用した際にどう感じるか、がポイントとなる指標のため、とても抽象的な言葉といえます。ユーザビリティとほぼ同義のように感じられますが、良いUXの一つの条件としてユーザビリティがある、といったイメージを持つとわかりやすいかもしれません。
冒頭では”usability”の訳について「有用性」「使いやすさ」「使い勝手」と書きました。
しかし、「ユーザビリティ」とは単に “使いやすさ” という意味だけではありません。ISOの定義から、以下のようにあったことを思い返してください。
特定の利用状況において、特定のユーザによって、ある製品が、指定された目標を達成するために用いられる際の、有効さ、効率、ユーザの満足度の度合い。
「特定の」「指定された」という箇所がポイントです。
つまり、”使いやすい” だけではないのです。「誰が」「どのように」「何の目的で」利用するのかを踏まえたうえで、最適化する必要があります。
例えば、利用用途からパッケージのシステムを利用しようとしても、必ずしも満足する体験を得るとは限りませんよね。会社が違うのであれば、社内の業務状況も、使う人間も違います。うまくいかないことは想像するのに難しくないでしょう。
本当の「ユーザビリティ」は、単に「使いやすさ」を目指すものではありません。目的や状況、ユーザによって、調査したうえで最適化すべきものなのです。
ユーザビリティの第一人者であるヤコブ・ニールセン博士は、自身の著書で、ユーザビリティは「5つの構成要素」を持っていることを紹介しています。
・学習しやすさ(Learnability)
はじめてでも馴染みやすく、ユーザがすぐ使い始められる
・ 効率性(Efficiency)操作を覚えたら、素早く効率的に使用できる
・ 記憶しやすさ(Memorability)しばらく使っていなくても、また使うときにすぐ使えるよう覚えやすい
・ エラー(Errors)エラーを起こしにくく、エラーが起こっても容易く回復でき、かつ致命的なエラーが起こらない
・ 主観的満足度(Satisfaction)ユーザが満足でき、好きになり、楽しく快適に利用できる
『Usability Engineering』(日本語訳『ユーザビリティエンジニアリング原論』
これらの要素を満たすことで、より高いユーザビリティの獲得につながります。ユーザビリティの向上は、使いやすさだけではなくWebサイトの離脱を防ぎコンバージョン率を高めることや、業務システムであれば、操作性向上による効率化や生産性の向上が望めます。
繰り返しになりますが、ユーザビリティは
・特定の利用状況
・特定の目的
・目的ごとのユーザ
・固有の業務フロー …
など、さまざまな視点から検討されるべきものです。
上記の5つの観点を念頭に置けば、初期の感情である「使いにくい」ということは回避できるでしょう。
特にシステムのユーザビリティを懸念していない、つまり、使いづらいシステムを利用し続けるということは、労働時間や社員の士気に直接的に影響します。
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