今や、企業がユーザーの行動に合わせる「ユーザー中心主義」の時代です。製品やサービス、それ自体の提供が目的ではなく、製品やサービスを通じてより良い体験を提供することが重要とされています。今回は、「シグニファイア」という視点からこれからのUI/UXについて、お伝えしていきます。
「シグニファイア」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
シグニファイア(signifier)とは、人々に適切な行動を伝える知覚可能なシグナルのことです。 分かりやすく一言で言いかえると、「手がかり」と言えます。
身近な例 で言うと、ドアの取っ手を思い浮かべてください。私たちは、丸いドアノブがついていれば回し、平たい板状のドアノブがついていれば押します。へこんだ溝であれば、指を引っかけてスライドさせると思います。
このように、人間から見て「何ができるのか」を教えてくれているのが、シグニファイアなのです。
これは、画面においても同じようなことが言えます。 例えば、画面上にボタンの形をした箇所があれば、それは押せることを表すシグニファイアであり、文章に色と下線がついていれば、リンクであることを表すシグニファイアとなるのです。
シグニファイアはUI/UXを考えるうえで欠かせない概念ではないでしょうか。人は対象物に対して必ず、どのように使うものかを予想します。
例えば、青い印のついた蛇口と、赤い印のついた蛇口がある場合、お湯を出したいときには、皆さんならどちらをひねりますか? おそらく、赤い蛇口をひねるのではないでしょうか。このように、ユーザーは「これはこういうもの」という固定概念によって、決めつけを行います。
システムのデザインを考える際に、人間が対象物に対して抱く固定概念を利用し、ユーザーが無意識に安心して利用できるシグニファイアを設計する必要があると考えられます。
しかしながら、固定概念はすべての人が全く同じ考え方をするとは限りません。
水を出したいときに、赤い印のついた蛇口をひねる人もいるかもしれません。そのため、デザインを考える際には自分の常識のみでなく、ユーザーを意識し幅広い視野を持つことが重要なのではないでしょうか。
前述したように、ユーザーは全員が同じ考え方・使い方をするとは限りません。さらに情報化が進み、システムの複雑化が進む中で、UI/UXデザインには正しく使えるユーザーとそうでないユーザー、両者の差をなくしていくことが今以上に求められるのではないでしょうか。 システムのデザインを考えていく上で、これまで以上にユーザーの行動を予測し、心理に寄り添うことが大切です。UI/UXを意識することは年代や経験の有無にかかわらず、平等に正しく使えるデザインを増やすことで、より多くのユーザーが満足のいくシステムデザインになるのではないでしょうか。
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