UIやUXを重視したデザインを考えるときによく「ユーザー視点で考えることが大切」などといわれます。確かにユーザー視点で物事を考えることはユーザーが求めていることを正確に理解し、希望通りのデザインを作り上げる最も良い方法ではないかと思います。
しかし、“ユーザー視点”というものを改めて考えてみると、何をもってユーザー視点だといえるのか、少し曖昧な気もします。そこで今回は“ユーザー視点”の本当の意味、また誤解されがちなポイントについてお伝えします。
ユーザーのためを思って様々な案を考えることは決して悪いことではありません。しかし、「ユーザー視点とユーザーのため」には決定的に大きな違いがあります。それは「ユーザーの立場になって考えているかどうか」です。「ユーザーのため」というのは一見ユーザー視点のように感じられますが、実は作り手側から見て「これならユーザーも喜んでくれるでしょう!」と考えていることになってしまいます。ユーザーの立場になって考えてみれば「この情報があったらもっといい!」「ここにこの機能はいらないかな」というようにユーザーの立場として主観的に考えることができます。これこそが「ユーザー視点」です。
ユーザーの視点に立つということは「ユーザーの話を全て鵜呑みにする」ということとも異なります。例えば、患者が「風邪をひいたので風邪薬をください」と言っても医者は「いつからなのか」「どのような痛みなのか」等をヒヤリングしたうえで最適な薬を処方すると思います。それと同じで、ユーザーの話を鵜呑みにする前にしっかりとヒヤリングをしてからでないと最適な商品を提供できません。
また、鵜呑みにしてはいけない理由の一つとしてユーザーはユーザー自身で気づいていないニーズ(潜在ニーズ)を持っていることも挙げられます。うまく言語化・認識できていないことでも意識的・無意識的な動作にあらわれていることもあり、これを知るためには質問をするだけでなく「観察」をすることが重要でしょう。観察は実際の作業・生活の様子だけでなくユーザーに質問した際の答える様子や雑談をしている様子なども含まれます。観察から「なぜこのような行動に至ったか」「この作業はやりにくそうだった」などユーザーに対する理解が深まることでより最適なシステムやデザインの提供が可能になるのです。
ヒヤリングや観察から、ユーザーの立場に立って「どのように感じるか」「どのような機能が必要か」を考えユーザーへの理解を深めることは、ユーザーのUXを向上させる第一歩です。
エイ・エヌ・エスではUI/UXの観点から生産性・効率性を向上させるシステムを、ユーザー主体設計をベースに構築し、利用目的やニーズに沿った設計志向で業務課題を解決します。まずはお気軽にご相談ください。