以前より高齢者のデジタル格差は問題視されていましたが、それが顕著に表れたのは新型コロナのワクチン接種予約でしょう。若者であれば簡単に理解し操作ができるものでも、スマホやネットに慣れていない高齢者にとっては、まずどこを触って、どこから予約ページに入るのか、どこを押せば予約ができるのか、など多くの壁があり簡単なシステムとは言えませんでした。では、高齢者のデジタルへの抵抗をなくすためにはどのようなデザインを心がける必要があるのでしょうか?
総務省によると70歳以上の高齢者によるスマホ・タブレットの利用率が約50%。利用しない理由として「使い方が分からないから」という意見が多くを占めていました。こういった状況を受け、高齢者がデジタル化から取り残されないようにする、「デジタル活用支援」が各地で行われるようになっています。例えば総務省はスマホやマイナンバーカードの使い方講習を開くことでデジタル化から取り残される高齢者を減らす活動をしています。また、最近では渋谷区がKDDIと共同でデジタルデバイドの解消に向け、スマートフォンを無料で貸し出す実証事業を開始しました。このようにデジタルを使いこなすことで高齢者のQOLを高めようとする活動が多くみられています。 (出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/01point.pdf)
各地でデジタルデバイドをなくそうという動きが高まっていますが、デザイナーがより分かりやすいデザインを心がけることも高齢者のデジタルへの抵抗をなくすための一つの方法といえるでしょう。心がけるべきポイントを3点紹介します。
1.アルファベットやカタカナの利用は避ける
2.はっきりとした色のコントラスト
3.ボタンはクリックを促すデザインに
若者が普段聞き慣れている言葉でも高齢者にとってはわかりづらい場合があります。例えば、英語や横文字です。Webサイトのデザインでよくある、「MORE」「Q&A」などはわかりやすく「もっと見る」「よくある質問」といったようにシンプルに表現したほうが高齢者にとってはわかりやすいデザインといえるでしょう。デザイン性の追求も大切ですが、まずはわかりやすさに重点を置くべきです。
また、コントラストも重要です。年を重ねるにつれ、パステルカラーや彩度の低い色を認識しづらくなります。「白と黒」「青と黄」などコントラストがはっきりした配色が効果的とされます。
最後に、ボタンについてです。文字が四角で囲んであるだけではクリックできるのか分からない場合があります。影を付けて立体的に見せたり、カーソルを持って行ったときに色を変えたり、アイコンを用いるなどして「押せるもの」ということを伝える必要があります。
今回は高齢者にとってわかりやすいデザインに焦点を当てて紹介しましたが、誰が見ても一目でわかりやすいデザインを心がけることが最も重要となります。
エイ・エヌ・エスではUIUXの観点から操作性の良いシステムの構築を行っています。システムのお悩み・デザインについてのお悩みはぜひ一度お気軽にご相談ください。