ユニバーサルデザインといえば「色」に焦点が当てられがちですが、フォントもユニバーサルデザインを考えるうえで大切な要素です。カラーユニバーサルデザイン(CUD)についてご紹介した以前のコラムでは、色弱者と一般色覚者がどちらも不自由することなく平等に情報を受け取れることこそが、CUDの本質であるとお伝えしました。今回はフォントに関してですが、考え方はCUDと変わりません。では、ユニバーサルデザインフォントとはどのようなもので、どのような場面で使うべきなのでしょうか。
そもそもユニバーサルデザインとは、年齢・国籍・障害の有無などにかかわらず、誰もが使いやすい商品・サービス・しくみ・まちづくりを指す言葉です。
ユニバーサルデザインフォント(UDフォント)はその中の一つで、多くの人にとって分かりやすく可読性に優れたフォントのことを指します。近年では高齢化の影響もあり、社会全体をより暮らしやすくする工夫が必要不可欠となりました。ユニバーサルな社会を目指すためにもUDフォントは重要といえるでしょう。それでは、一般的なフォントとUDフォントの特徴の違いについて見ていきましょう。
UDフォントには以下のような特徴があります。
・字形が明瞭で、文字間隔が広めに設定されている
・文字の太さが一定で、細すぎず太すぎない(特に明朝体)
・似た形の文字を見分けられるよう形を変えている
・無駄な装飾を減らしている
画像でも示した通り、それぞれの文字を比較してみると異なる点がいくつかあります。
例えば、ひらがなの「も」は通常フォントの場合1つ目の横棒と2つ目の横棒の空間が十分に取れていないのに対し、UDフォントではゴシック体も明朝体も十分な空間を確保しているのがわかります。また、「桜」という漢字を例に挙げると、UDフォントの場合始筆の部分の装飾が取り除かれています。さらに、明朝体だと本来横棒が細くなりがちですが、UDフォントでは縦と横の太さを一定にして視認性を高めています。「7」という数字は通常のゴシック体の場合、「1」と間違えてしまう可能性があるため、UDフォントでは間違えないよう一画目がしっかりと書かれています。
このように、実際に比較してみるとUDフォントは通常フォントよりも視認性や可読性に優れていることがわかるでしょう。
UDフォントは様々な場面で使用されています。例としていくつか挙げてみました。
1.駅や空港の看板
UDフォントは駅や空港などの公共施設の案内看板や表示器でもよく使われます。これは、多くの人々が利用するため、読みやすさや理解しやすさが重視されるためです。
2.プリントアウトされた書類
例えば、会議資料やレポート、プレゼンテーション資料、企業のパンフレットやチラシなどでよく使われます。印刷をしたときに小さい文字がつぶれて見えなくなってしまった経験はありませんか?UDフォントは文字がつぶれないよう余白を大切にしたフォントのため、印刷物のフォントに適しているでしょう。
3.Webサイト
デジタルの普及により多様な人がWebサイトを閲覧する時代になりました。高齢者や目が不自由な人でもできるだけストレスなく閲覧する工夫の一つとしてUDフォントが挙げられます。
4.Webシステム
Webシステムは、業務において毎日のように使うものも少なくありません。そのため、高齢者や障害者だけでなく若者や健常者もできるだけ目への負担は避けるべきです。UDフォントは見続けても疲れにくい構造をしているためWebシステムでも採用すべきです。
上述したように、UDフォントは多様な場面で利用されています。多様な人々にとって読みやすく理解しやすい情報を提供することができるUDフォントですが、一般的にはあまり知られていないのが実情です。
UDフォントを使用することで、可読性や視認性の向上といったメリットがあります。上記で紹介した中でも、特にWebシステムは、業務の効率や生産性に直結するものでもあるため使用するべきといえるでしょう。
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